先日、所用があって狭山へ行った。
うちから狭山へは、高田馬場乗り換えで西武新宿線で一本だ。馬場から狭山までは、たまに乗ると、ちょっとした小旅行だ。
元々川越出身なので、新宿に勤めていたときには、時折新宿線を利用することがあり、その場合は、本川越から西武新宿まで、つまり、始点から終点までだったので、今回よりさらに行く駅か長かったはずだが、当時はそんなことは思っていなかった。川越から新宿は、東武東上線と山手線を使った方が、西武線より早いし、西武新宿駅は新宿とはちょっと離れているので、ただ新宿と言うことであれば、東上線ルートの方が早い。
ただ当時は、歌舞伎町の入口に勤めていたので、西武新宿駅から非常に近かったのだ。
今でもそのレコード店は同じ場所にあると思うが、当時とは店名も変わっているし、そもそもレコード店ではない。ぼくが始めてその店に入った時には、まだこの世にCDは存在していなかった(尤も、プロトタイプはすでにあったと思うが)。
話は逸れるが、その店にいるとき、店の前の歩道で靴磨きをしているおじいさんがいた。背がちっちゃくて、靴を磨くクリームで手を真っ黒にした、それでも快活な気のいいじいさんだった。時折、店に両替に来る。お客さんにおつりがないからだ。また、時にはそこの店員に金を借りに来ることもあった。ぼくも何回かかしたことがある。比較的律儀に返しに来ていた。時折返さないことがあったようにも記憶している。
いつまでそこにいたのか解らないが、いつの間にか姿を消したと思う。亡くなったのかも知れないと、当時思ったものだった。
今考えると、もう少し優しくしておけば良かったかな、等と思ったりする。まだぼくも20代だった。
さて、話を元に戻すが、狭山で用を済ませ、帰りのことだ。パスネットで改札を抜け、ホームに行くと、ちょうど特急が来るところだった。
乗りたいが間に合うだろうか、というのがその時の気持ち。
見てみるとがらがらなので、取り敢えず乗ってしまえばこちらのものだとは思ったが、取り敢えず近くの駅員に、中でも買えるかという旨を訊くと、「そこで特急券を買ってください」と言われた。
見ればすぐ後ろに特急券の券売機らしきものがある。そこで、あわてて券売機へ向かった。
取り敢えず1000円を入れて高田馬場を押す。うんともすんとも言わない。2度押したが変わらない。試みにもう1000円入れてみる。関係ない。
ふと気づくと、上に何枚というボタンがある。そこで高田馬場、1枚通すがそれでもダメ。ようやく気づき、1枚、高田馬場通すと、お金が多すぎますといって2千円がはき出される。
改めて1000円入れて同じように押して、ようやく特急券を手に入れた。
どうにか落ち着いて小江戸号に乗り込み、座席に着く。ちょっとして発車。余裕はあった。しかし絶対乗り込んでから中で買っても問題はなかったな。そう思った。
何にせよ、普通の券売機は、1枚の場合、わざわざ枚数を押すことはない。先日、テレビのクイズ番組でもやっていたが、券売機のひとりボタンは、二人とか3人通した場合に、それを訂正するために付いているのだ。
その感覚があるから、どうしても券売機で買おうとすると、普通に行き先だけを押す。ここの機械の案内は、音声なので、せめて音声で、「枚数を押して、行き先をしてください」とか言って欲しいものだ。
また、2千円はいっていても、発券して、おつりで出せばいいじゃないかとも思う。
普段だったらそれほど感じないこんな八つ当たりめいたことが、焦っていたのでひときわ強く感じることになった。
でもまあ良かった。乗れて。
電車は非常に快適で、あっという間に馬場まで着いた。しばらく旅行へも行っていないので、軽い旅行気分を味わった。電車旅行が好きなのだな、我ながら。・・・・駅弁が食いたかった。