由比敬介のブログ
Made in Europe / Deep Purple
Made in Europe / Deep Purple

Made in Europe / Deep Purple

Made in Europe.jpg“Made in Europe”は恐らく、僕が最も好きなDeep Purpleのアルバムだ。
 最初にパープルを聴いたのは、たぶん解散直前くらいの時だったと思う。それまでは日本の歌謡曲やフォークばかり聴いていた僕にとって、パープルは騒音以上の何物でもなかった。今では想像できないが、本当にうるさかった。
 確か当時、世界で最もうるさいバンドとか言われていたはずだ。そういう意味では、ぼくの印象はあながち間違っていなかったことになる。
 そんなぼくがハード・ロックを聴くきっかけはRainbowのセカンドアルバムだったが、当然そこから遡って、ディープパープルも聴くようになったし、Zepやらグランドファンクやら、当時のハード・ロック、へヴィ・ロックをそしてプログレッシブ・ロックを端から聴き倒した。
 このメイド・イン・ヨーロッパもその中の1枚だが、このアルバムは、デヴィッド・カヴァーデルを再認識させるアルバムだったし、後のホワイトスネイクを聴く大きなきっかけだった。
1. Burn
2. Mistreated [Interpolating Rock Me Baby] 3. Lady Double Dealer
4. You Fool No One
5. Stormbringer
 レコードのA面3曲/B面2曲と、わずか5曲しか入っていないアルバムだったが、捨て曲はなかった。
 第3期といわれる布陣になってからのアルバム2枚からの選曲で、当時も実は”Smoke on the Water”や”Highwaystar”なども演奏されていたが、ここには入っていない。そしてそれが正解だ。デヴィッドとグレン・ヒューズの2期の曲は、あまり出来がいいとは思えない。この時期の他のアルバムを聴くと、それがよく分かる。
 パープルのヴォーカリストとしては、デヴィッド、ロッド・エヴァンス、イアン・ギランとうい個人的な序列なのだが(グレンは入っていません)、イアンのヴォーカリストとしての才能は認めるにやぶさかではない。当時のイアンとデヴィッドの歌唱力の差は歴然で、しかもイアンの歌詞はデヴィッドには合わない。
 曲は基本的にリッチー・ブラックモアが作っているのだろうが、Burn以降の曲は、基本的にそれ以前と違う。
 その「Burn」で幕を開けるこのヨーロッパでのライブは、まことに素敵だ。
 Mistreatedも全パープル及びホワイトスネイク、レインボー、ディオ、あらゆるヴァージョンの中で最高の出来だ。ここでのデヴィッドは歌唱力などを超越してセクシーで魅力的な歌を歌っている。
 リッチーもきっと、これからレインボーという新天地でがんばるぞという意気込みでもあるのか、熱が入っている。
 パープルの代表曲というと、「Highwaystar」「Smoke on the Water」「Speedking」「Black Night」「Woman from Tokyo」など、2期の曲がほとんどで、1期では「Hash」3期では「Burn」4期はない。と、とても偏っているわけだ。
 仕方がないとは思うが「Mistreated」は名曲だと思うのだな。出来に比べて評価が低い。
 このmIstreatというタンゴを知ったのはこのときが初めてだし、その後、別の文脈でも見たことがない。
 辞書で引くと虐待とか酷使と載っているのだが、こんな単語は日本語環境で暮らしていては、英語の単語としてお目にかかれなくても不思議ではない。
 I’ven mistreated~と始まるこの曲は、つまり「俺は虐待された~」という歌い出しだ。続けてI’ven abused~I’ven struck downherated babe~I’ven confusedと続くのだが、結局女に逃げられて落ち込んでるという歌なのだ。
 デヴィッドの歌詞はこの手が多い。相当打ちのめされているのだな、という感じだ。ルチアの狂乱もこれでは敵うまい。
 
 そしてLady Double Dealer(邦題はなぜか「嵐の女」)これもMistreatedと同工異曲かな。内容は。
 You Fool No oneは18分にも及ぶ。この前奏で、ジョン・ロードが弾く「Hava Nagila」というユダヤ民謡が好きで、CDまで買った。
 そしてラストがStormbringer(邦題は「嵐の使者」・・・こちらは解る)
 個人的にはライブ・インジャパン(外国ではMade in Japan)よりもこちらの方がはるかに好きだ。
 このアルバムは、リッチー・ブラックモアが抜けるという、危機的状況を前にしながら、当時のパープルの音楽がいかにクオリティの高いものだったかを証明しているように思える。
 1970年というのはビートルズが解散した年だが、その70年代は、へヴィでハードなロックが席巻した。
 その70年代のほぼ真ん中に発表されたこのアルバムは、少なくとも僕にとって、70年代を象徴するアルバムの1枚なのだ。
 ビートルズではぼくを洋楽に引き込むことは叶わなかった。レインボーとそれにるいするバンドたちが、未だに愛しい。

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