由比敬介のブログ
世論調査とか
世論調査とか

世論調査とか

 世論調査というのがあって、よくテレビで調査結果を放送している。ほとんど政治がらみで、内閣支持率とか、そんなものの調査を行っているようだ。大概、サンプル数は1000くらいに思える。
 で、その結果が世論の動向を表して、内閣支持率何%とかが世論の動向ということになるのだ。
 似たような調査で、視聴率というのがある。
 これはただ、世論調査とは違って、視聴率を計る機械などを取り付けた家庭が対象になっているようだ。そして、テレビ局はこの視聴率のために番組作りを頑張る。
 これはインターネットのページビューが、広告の数や広告費そのものに影響するのと同じことだろう。ただページビューは、完全な実測値(正確かどうかは別として)であるのに対し、視聴率はあくまで、世論調査などと一緒で、統計的な理論に基づく有効サンプル数内の計測である。
 さて、サンプルが1000として日本の人口を単純に1億くらいで計算すると、10万分の一、つまり、自分がそのサンプルの一因になる確率は、10万回に1回ということになる。毎週世論調査がどこかであるとして、年50回ほど、100年生きても5万回なので、半分の人は一生の内どこかで世論調査の対象になるが、残りは全く対象にならない、ということになろうか。
 世論調査は各社あるが、世論調査を受ける対象年齢はもっと限られているので、世論調査の対象となるのは一生に一度あるか内かということなのだろう。増して今の若い人は携帯しか持たない人が多いから、たぶん今の状況の中では、固定電話のある人が対象になりそうなので、もっと確率は低くなりそうだ。
 かくいうぼくも、いわゆる新聞社などの世論調査は受けたことがない。
 言ってみれば、ぼくの意見は世論に反映したことがないことになる。
 もちろん、それ以外のアンケートなどに関してはWebでアンケートに答えるようになってからは、毎日何らかのアンケートに答えているので、それ以前と、今とでは様々な世の中の動向に対して、何らかの影響を自分の考え方が及ぼしていないわけではないと思う。
 でもそれは、こんな菓子が好きだとか、車は乗らないとか、家電はどんなものを持っているとか、せいぜいそんなたわいもない内容だ。
 世の中の動きというのは多かれ少なかれ、人の意見や行動によって制御され、初詣から戦争まで、その集合値が動かしている。合うときは政治家の扇動だったり、マスコミの報道だったり、様々な理由は付けられるが、実際には個人の集合としての集団がどう動くかである。
 革命も、従属も、実はその動きの結果に過ぎない。
 都議選が民主党の圧倒的な勝利に終わっても、負けたのは自民党だけではなく、共産党や他の小さな団体も負けている。もともとある程度の集合値が見込まれる公明党が全員当選したのは、確かに創価学会の力も大きいだろうが、それ以外の人だって投票しているに違いない。
 たとえ自分自身が生活者ネットワークやエロすぎる後藤麻衣に投票したとしても、世の中は動いていくのだ。尤も、ぼく自身はそもそもそのどちらにも投票できない地域に住んでいるが。
 そう考えると、ハリ・セルダンの心理歴史学(Psycohistory)というのは、何となく実現不可能ではない学問のように思えてくる。心理歴史学はアシモフのファウンデーションシリーズ(個人的には「銀河帝国の興亡」という邦題が好きだが)に出てくる、集団としての人類の歴史を正確に予測する学問のことだが、実は現実の評論家は、数学を使わないで、不正確なこれを行っているわけで、何となく公式化できそうな気さえするではないか。
 いずれにしても、反映されない世論の担い手として、例えば、自民党支持率30%、不支持率60%という調査が合った場合、残りの10%のどっちでもない人も含め、確かに自分の意見も、そのどれかには含まれているわけだ。支持か不支持か、どちらでもないか、他に回答がないわけだから。
 これをして世論は自民不支持だという結論が導き出されるわけで、いわば世論というのは世間の人々の気持ちという単純なものではなく、当たり前のことだが、世間の多数を占める人たちの意見なのだ。
 世の中の人たちの意見はこうだではなく、常にそういう傾向があるということしか解らないわけだ。その曖昧さ故に、世論やアンケート調査というのは、なんだか楽しいものだなと思う。
 
 笑っていいともで、会場にいる100人にアンケートを採るというのがあるが、100というのはなかなか望めない。下手をすれば、今この会場にいる人、という質問をしても99などになりかねない空気がある。
 選挙とか、解りやすいものではなくても、世の中はこの曖昧さ故に、争いが無くならないのだな、と思うと、不確定性原理が支配するプランク以下の世界が、曖昧である理由が分かるような気がする。
 
 この世に正確とか厳密ということは、突き詰めると無いということなのだろう。
 

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