由比敬介のブログ
ディアボロス/悪魔の扉
ディアボロス/悪魔の扉

ディアボロス/悪魔の扉

「ディアボロス」は、アル・パチーノとキアヌ・リーブスが共演した映画だ。まだそんなに古くない。
 負けない弁護士のキアヌが、裁判中に見た一場の夢のような体裁を取った映画。キアヌ・リーブスというと、「スピード」や「マトリックス」といった派手なアクション映画が有名だが、どちらかというと彼の顔は、こういう役に上手くはまっている典型のような気がする。
 あの端整な顔立ちは、辣腕の若手弁護士にぴったりだし、ちょっと精神的に弱そうな雰囲気も、この映画にはいい感じだ。何よりアル・パチーノがすごいから、どうしたってそっちの方が目立ってしまうのだが、悪魔らしさが非常にいやみなく出ていてさすがと思ってしまう。
 キアヌをニューヨークの一流弁護士事務所のスターに育てようとしたのは、父親たる悪魔のアル・パチーノだったというストーリー自体は、いかにもの感はあるが、最初私はタイトルも気にせず、しかも前情報無しで見たので、それほどホラーという感覚無しに、実は「弁護士物」みたいな感覚で見ていた。そうやってみると、このストーリーは意外によくできていて、恐怖の内に精神を病んでいくキアヌの妻(シャーリーズ・セロン・・・なかなかかわいい)も迫真だし、自らの弟を誘惑する魔女(ジュディス・アイヴィー)も、なかなかエロチックだ。
 
 最終的な落としどころが、「一場の夢」的なところは、賛否あるのだろうが、であればこそ、最後の「虚栄心は人を惑わす」というアル・パチーノの台詞と、ストーンズの「黒くぬれ!」が生きているのだ。
 アル・パチーノとロバート・デ・ニーロという俳優が、私の中では昔からごっちゃになっていて(と言って、違いが分からないとかそういうのではないが)、雰囲気とか、性格俳優的なうまさに何か共通するものを感じる。デ・ニーロはやはり「タクシー・ドライバー」が私には原点だが、アル・パチーノにはない。「ゴッドファーザー」みたいな映画があまり好きではないので(そう言えばデ・ニーロも出ていたのかな?)、アル・パチーノとの最初の出会いは、榊原郁恵の歌だったりしてしまうかも知れない。
 いずれにしても、この悪魔的な表情が板に付いているアル・パチーノと、まじめな青年キアヌ・リーブスの対称が非常に面白いし、私はこの映画はホラーと言うよりはSF的だと思っている。・・・・怖くないから。
 怖さよりも、人間の内面に潜む虚栄や欲望と、それを抑えようとする心の葛藤をコミカル(アニメ的という意味)に描こうとした作品であると思っている。
 私の中ではかなり高評価の映画。

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