今日は七夕だが、ほとんどの場合、七夕に東京で牽牛と織女を見るのは難しい。まずは梅雨時だし、冬に比べると明るい星が少ない。空気も透明ではないし、ましてや東京では光害もある。地方の空気のきれいなところでのんびりと見てみたい。
七夕という言葉は「女が水辺の棚に設けた機屋(はたや)にこもり、神の降臨を待って一夜を過ごすという伝承があり、これから棚機女(たなばたつめ)、乙棚機(おとたなばた)、さらに「たなばた」とよぶようになった」らしい。伝説的には、中国来歴のものと日本古来のものが入り交じっているようだ。
七夕の織り姫はこと座のヴェガ、牽牛はわし座のアルタイルだが、アルタイルというのは「飛ぶ鷲」という意味でヴェガは「落ちる鷲」という意味だそうだ。牽牛と織女の伝説から言うと大分もの悲しい名前だ。
ヴェガは地球から25光年、アルタイルは16光年しか離れていない。比較的近隣の星だ。この2星は白鳥座のデネブとともに夏の大三角を形作っている。デネブだけ遠くて540光年も彼方の星だ。この夏の大三角は小学校で習うが、冬の大三角(シリウス、ベテルギウス、プロキオン)に比べると大分見劣りがする。星の光度自体はそれほど大きく変わるわけではないので、夏の夜空は見にくいのかも知れない。しかも最も暗いデネブが、天の川の真ん中に入っているから、余計かも知れない。
七夕という字は「しちせき」と読み、五節句の一つで、言ってみれば、ひな祭りや子供の日のようなものだ。笹の葉に短冊を付けて祈るのはこちらの風習だ。考えてみれば、織り姫と彦星の伝説と、短冊に願い事を書くことは、関連性があるとも思えない。
お盆の一部とする地方もあるらしい。
7月7日はまた、七夕とは全く関係ないがマーラーの誕生日だ。1860年のその日に生まれた。何度も書いているが、マーラーは私がクラシックを聴くきっかけになった作曲家なので、一入思い入れが大きい。だから、どちらかというと7月7日は、私にとっては七夕と言うより、マーラーの誕生日なのだ。