由比敬介のブログ
魔笛
魔笛

魔笛

 知り合いがオペラにデビューするということでチラシを頂いた。
 モーツァルトの「魔笛」というオペラだ。
 元来、タイトルからはいる人なので「魔弾の射手」「神々の黄昏」「サロメ」などという怪しげなタイトルを見ると、観たり聴いたりする前からわくわくしてしまうのだが、この「魔笛」というタイトルもまさにそういう作品の一つだ。
 元々ワーグナー、R・シュトラウスが好きなので、ドイツ語の音楽劇はなじみがあるのだが、モーツァルトの時代には、オペラと言えばイタリア語、と言うことで、ドイツ人のくせにイタリア語のオペラばかりを書いている。その中にあって、「魔笛」は、数少ないドイツ語のオペラだ。
 別にローダンが好きだからドイツびいきって言うわけではない(少しはそれもあるが)。だからといって、イタリアものが嫌いなわけでもない。モーツァルトも嫌いなわけでもない。
 ただ、これまでモーツァルトのオペラに接する機会はあまり多くなかった。
 チラシを見ても解るが、この作品は多分にメルヘンチックだ。チラシに配されている、鈴を持ったパパゲーノ、夜の女王、三人の童子、見た目は童話チックだ。
 ストーリーはどちらかというとフリーメーソンの抹香臭い(という表現は必ずしも適切ではないが)説話ものという感じを受けないではないが、軽快で飽きの来ないモーツァルトならではの音楽が、非常にすばらしい作品に仕上げている。
 有名な夜の女王のアリアは、高い「F」の音を要求される。高い音が出りゃいいってものじゃないから、歌手はなかなか大変だ。
 この作品は誰が主役なのか、ちょっとよく分からない。ベースはタミーノという王子がパミーナという夜の女王の娘(女王の娘だから王女なのだろう)を、ザラストロから救い出す、という話のようで、実は悪いのは夜の女王でザラストロの元で二人が救われるという、込み入っているわけではないが、軽いどんでん返しのような部分を持っている。
 
 日本では、日本語上演することも多いという話を聞いたが、今度の上演はドイツ語だという。オペラにしても歌曲にしても、そもそも欧米の言葉に乗るように作曲されているから、言語上演が、やはりしっくり来る。・・・・意味は分からないが。
 オペラの中で最も上演回数の多いのは「フィガロの結婚」だというが、「ドン・ジョヴァンニ」「コシ・ファン・トゥッテ」などとともに、「魔笛」も相当多い気がする。
 たまたま先日、ザルツブルク音楽祭、2006年のムーティによる「魔笛」を購入して観たのだが、これはなかなか良かった。演出は、・・・・実はよく分からないが・・・・それほど好みではなかったが、ダムラウの夜の女王は、迫力があって、とても良かった。
 CDでは、ちょっと古いが、スウィトナー指揮のが好きだ。
 個人的に最も好きなのはパパゲーノが最初に登場するシーンの「ほいさっさ」と言うところだ。軽快で、非常にウィットに富んだメロディーだ。後半のパミーナのアリアもいい。有名な「パ・パ・パ」は(最近はCMでも流れているが)、それほどでもない。ただ、パパゲーナはきれいな方がいいな。
 せっかくなので、生で見たいと思うから、チケットも買おう。
 なにやら、文化庁とか、人材育成とか、安倍政権の教育再生会議とは関係なかろうが、新人歌手たちのオペラのようなので、皆様がんばってくださいという表向きの姿勢とは別に、三人の童子までソプラノが演じるという、若い女性に彩られた演出を楽しみたいと思う。・・・あ、まだ2ヶ月も先か。
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