由比敬介のブログ
いきものがかり
いきものがかり

いきものがかり

 ぼくは音楽に関しては雑食なのだが、最近のポピュラー音楽は、あまり聴かなくなっている。昔のようにCountDownTVなどを見て情報を仕入れることもしなくなった。
 クラシックを今でもよく聴ける一つの理由は、新曲が少ないことかも知れないという気にさえなる。新しいCDやDVDが発売になったところで、その多くは既存の音楽を別の誰かが演奏したものだ。曲自体はなじみがある。
 今パソコンからはSantanaが流れている「Open Invitation」という曲だ。別に選んだわけではなく、毎度おなじみのランダム再生故の選曲だ。それでもSantanaの音楽は、耳になじんでいるし、これも10年以上前の録音だ。
 一つの音楽を1回しか聴かないとすれば、相当数の音楽に触れることは可能だが、そんなことはあり得ない。結局気に入った音楽は繰り返し聞くし、どんなに流行っていようと、どんなに優れていようと、聴きたくない音楽というのはある。
星をめざして/NEWS
蕾(つぼみ)/コブクロ
Flavor Of Life/宇多田ヒカル
千の風になって/秋川雅史
Climax Jump/AAA DEN-O form
BUT/愛証/倖田來未
WINDING ROAD/絢香×コブクロ
CHE.R.RY/YUI
Love so sweet/嵐
LU LU LU/GAM
 上記はオリコンの今週のチャートからコピってきたベストテンだが、さすがに全く知らないということはないが、曲として認識できるのは2~3曲だ。秋川雅史の曲なんて、こんなところにはいるのは信じられない。紅白恐るべしという感じだが。
 相変わらず、クラシックとハードロックの比重が高い、進歩のない音楽生活をしているのだが、ちょっと前、何かのCMでSAKURAという歌を聴いた。テレビ画面の下に「いきものがかり」と書いてあった。
 これが「生き物係」から来ていることなど知らなかったが、何度かネットで調べようと、テレビでその都度名前を覚えながら、その都度、しばらく忘れていた。・・・・すぐ調べれば問題ないのだが。
 そんなことでようやく調べて、SAKURA1曲をダウンロードしたのだが、なぜかこの曲が泣ける。
 歌詞自体は今更ぼくなどが感動するような、ノスタルジックではあっても、青春とは縁のない年齢なので、それほど感じることはない。だがなぜか、恥ずかしい話だが、このメロディを聴いていると、じわっと涙が出てくるのだ。
 これまであまりこういう経験はない。
 ロックのギターで「泣き」なんていうことをよく言ったが、そんなものに入り込んだり、アグネスチャンの「白い靴下は似合わない」で高校時代に切ない思いをしたり、クラシックのいろいろなメロディで感動したりという経験はあるが、ポップス聴いて、涙するなんて・・・・年のせいか?何て思ってしまったりするほどだ。
 尤も、ヴォーカルがこの子でなかったら、どうかな?とも思う。
 オフィシャルページを見ると吉岡聖恵という子らしい。
 ミーシャあたりからだろうか、非常に歌唱力を売りにできる歌手が増えたように思う。だが、歌唱力というのは、魅力的な声があって始めて有用なものだと、今回の音楽を聴いて思った。
 テクニックは、努力で身につけることのできる人が多くいるはずだ。もちろんそれだって素晴らしいことだ。しかし天性の、努力では身につけることができないのが声だ。
 楽器は、チューニングさえしっかりすれば、同じ音を出すことができる(に違いない・・・いや、もちろん洗練された演奏は、その音色もユニークだ)。しかし声は、技術ではない(なんて断言すると、誤解を受けそうだが)。
 魅力的な声は、生まれ持ったものだ。同じ歌を、魅力的な声で少し下手なのと、平凡な声で抜群のテクニックで聴く場合、前者の方がいいように思える。もちろん、個人差もあるし、そもそも「魅力的」というのは、普遍化できない。
 だから敢えてどの歌手が魅力的で、どの歌手が凡庸かなどというのは、まったくもって聞く側の身勝手な思いこみかも知れない。
 ナタリー・デセイというソプラノがいる。素晴らしい高音と、のびのある美しい声を持った天才的なソプラノだ(個々でマリア・カラスを出すのは、何か違う気がするので)。コロラトゥーラだが、高い声ばかりで勝負するわけではない。いずれにしても当代随一のソプラノのひとりだ。
 ぼくは、マスネのほとんど上演されることのない「サンドリヨン(シンデレラ)」というオペラが好きなのだが、これは唯一でているCD(かつてはレコードだったが)で歌っている、フレデリカ・フォン・シュターデという歌手の魅力に依るところが大きい。
 たぶんソプラノの実力としては(世代は違うが)デセイには及びも付かない。
 しかしシュターデの、細いが透明感のある声は、僕には魅力的なのだ。
 シュターデは基本メゾ・ソプラノだと思うのだが、このサンドリヨンではソプラノとして歌っている。
 まあ、そんなわけで、「魅力的」の内訳はとても個人に負っているのだが、このいきものがかりの吉岡聖恵さんは、久々に日本人のポップス歌手で声に惚れた。
 最近人気のある伊藤由奈とかYUIとかもきれいないい声をしていると思うのだが、それとはちょっと違う、いい周波数に入ってますという声をしている。もちろん、SAKURAという歌限定での話だ。他の曲は知らない。でも聴いてみようという気にはなる。
 それにしても、今かかっているのがBlueOysterCultだ。ぜんぜんいい声じゃないが、素敵だ。
 こうやって別の曲を聴いて楽しんでしまうと、SAKURAは錯覚かな?何て思えてしまう。だって、曲だけで泣くなんて・・・・やはり自分でも信じられない。

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