このところ、ずっとレンタルで「巨人の星」を借りている。TSUTAYA DISCASというネットレンタルだ。
現在、大リーグボール1号が完成し、オズマが登場したあたりだ。
巨人の星というこのつっこみどころ満載のアニメは、しかし日本のアニメの歴史で、とても大きな役割を持っている。
かくいうぼくも、小学生時代に夢中になって見た口だ。星飛雄馬の巨人軍在籍は、1968年から1970年までの3年間だという。彼は高校入学の年に甲子園に出場し、その後退学、巨人軍のテストを受けて入団している。だから、巨人入団の年齢は恐らく16才で、1軍登録は17才。そこから20才までの3年間を巨人軍で活躍したということになるのだ。
巨人入団の1年目は巨人が4連覇した年だ。ここから巨人はあと5連覇する。そんな川上監督下の巨人だ。
巨人の星が幕を開ける長嶋の巨人入団は1958年のことなので、星は当時7~8才と言うことになる。その時出会った花形満は、ブラックシャドーズという不良少年野球団のキャプテンだったが、すでに車を乗り回していた。金田正太郎もかくやという早熟ぶりだが、この花形は、高校ではわずかに星の1年年長に過ぎない。つまり車に乗っていたのは10才に満たない時期だ。昔のマンガはすごい。
さて、直球しか投げられないのだから、いくら速いとはいえ、巨人が喜んで穫るとは思われないのだが、そんなこととは全く違う理由でテストを受けて入団した星には、川上自ら、永久欠番である背番号16を飛雄馬に譲った。
カーブもフォークも(この頃は落ちるたまはドロップだったが、投げ方がフォークとは違う)投げられない星が、体重が軽いという理由でボールも軽いという、あまり物理学的な根拠のありそうにない理由で、それまでほとんど打たれることの無かった豪速球を、花形にわずか1回ホームランされただけで、野球生命を絶たれたと思いこんでしまう。
せいぜい変化球を学ぶくらいの頭を働かせて欲しいが、金田正一でさえ、マンガの中で、変化球を覚えたいという星を怒鳴っている。何ともかわいそうな男だ。
ところが、カーブもスライダーも投げられないのに、大リーグボールという驚異的な変化球をひっさげて星は帰ってくる。考えてみれば、父親の一徹が巨人を追われる原因となった魔送球は驚異的な変化球だ。
後にその技術を使った消える魔球では、落ちたあと再びホップするという、驚異的な変化球を星は投げまくっている。だが彼にはカーブは投げられない。スライダーも、シュートも、フォークも。なぜなら勉強したことがないからだ。・・・それ以上の変化球は投げているのに。
大リーグボール1号だけでも、きっと名球会に入れる。2号が有れば鬼に金棒だ。しかも針の穴を通すコントロール。きっと世界一の名投手だし、17才からやっていれば、200勝は軽いはずだ。
しかし正確が災いして、20才という早い時期に野球界を去ることになる。
尤もあとで復帰しているが。
さて、そんな飛雄馬が、オズマに野球人形と言われ、野球以外に能がないと言われるのだが、彼は実は星雲高校へはいるときも、それほど成績は悪くない。日雇い人夫の子だという理由で、入学を断られそうになるのだ。
この日雇い人夫という言葉は、一時期作品から削除されていた。差別用語らしい。日雇い人夫と日雇い労働者、あるいは日払いバイト、時給労働者・・・・人夫というのが差別なのだろうか?よく分からない。
確か星は、大リーガーに「リトルジャイアント」と言われて、伴に意味を訊くシーンがある。伴は「高校中退は悲しむべき」みたいなことを言って意味を教えてやるみたいな行だったと思うが、リトルジャイアントはたぶん中学生レベルの単語だろう。たとえ昭和30年代でも。ましてや読売ジャイアンツの選手だ。
しかも、このときの伴の高校中退者に対する見方の方が、日雇い何とかよりも、よっぽど差別的な気はするが・・・・
これは、片手落ちなどという言葉が、差別用語と言いながら、ブスを差別用語とはしない社会と似ている気がする。片手落ちという表現を使っている人が、片手を失った人のことを考えていることなど、ほとんど無いと思うが、ブスは直接的だ。よく考えてみれば、どちらも身体的特質に係わる言葉だが、敢えて言えば、後者は主観が入るという点だけだろう。
閑話休題。
今回は差別用語について書くつもりなど無かったのだが。
おれは野球人形じゃないという星が、悩みつつ町で知り合ったファンだという男とドライブに行く。
こんなシーンがあったのは覚えていなかったが、野球人形でないことを証明するために飛雄馬は、このあと、年俸のつり上げや、アイドルとのおつきあいなど、無理をして、直後日高三奈という、一生に二度と恋などしないと言える相手に巡り会うことになる。
その前のアイドルの名前がオーロラ三人娘の橘ルミだが、この3人は「クールな恋」という歌を歌っている。彼女たちのヒット曲だ。・・・・この「しゃらららら」は一度聴いたら忘れられない、ものすごい歌だ。
最近ではテレビで何かの番組で使っているらしい。
実はぼくもこの歌は巨人の星の中では、オーロラ三人娘以外は歌っていないと思っていた。
ところが、前述したファンの男が、星を乗せて、さらにそのあと女の子をナンパし、海までドライブし、ギターを弾きながら「白い珊瑚礁」を歌い、これが青春だ、象徴的に演じたあと、当時流行っていたゴーゴークラブに星を連れて行った。実は橘ルミとのデートでも飛雄馬はゴーゴーを踊るし、最後の方では、不良番長のお京に惚れた左門豊作までが、ゴーゴーバーでモンキーダンスを踊るのだが。
そのクラブで、実は本家本元のゴールデンカップスの「クールな恋」が流れているではないか。
いや、ただそれを発見してうれしかった。
それ以上のことではないのだが・・・・