ヨドバシカメラからカタログ冊子が送られてきた。年末やボーナス時期、新入学時期などに送られてくるものだ。意外と読み応えもある。が、基本はカタログだ。
しかし、それを見ていてふと思った。
確かに21世紀は科学の時代だ。
子供の頃、アトムや未来物の映画やドラマを見て、こんな世界が来るのだろうか、と思っていた。空飛ぶ車や、人間そのもののようなロボット、オートマチックで何でもできる家庭などというのは実現していないし、相変わらず、男はスーツを着ていて、よくある未来型の服などはお目にかからない。
しかし、テレビ電話は現実の物となり、コンピュータに到っては、20世紀中期以前に本などで見た物とは比較にならないくらい、発達している。タイプライターを見た時、日本語でこんな風に印刷文字を機械で行うのは非常に大変だろうな、と思ったものだが、今では手書きの方が大変だ。
印刷は個人の物になり、写真も劣化せず、300キロを超える速度で電車は走る。宇宙旅行だって、目前に迫っている。
私は音楽が好きだが、テープに好きな音楽を録音して聴いていた頃は、この複数のテープが1本に入ったら、どんなにいいだろうと思っていた。ビデオだって、いちいち入れ替えなくても良くなればいいのにと思っていた。今では、ハードディスクが十分にそれらの用途を叶えている。
次世代DVDは、またもやVHSとβの争いをしようとしている。消費者には難儀なことだが、実はこの競争こそが、様々な文化的産物を可能にしているのだと思えば、互換性がないと言われている二つのフォーマットを、いかにして1台の機械で再生できるようにするかが次の問題なだけで、さほど落胆することではないような気がする。
現在、何枚組とかになっているドラマやアニメ、映画などが、1枚に入る時代はすぐそこに来ている。
私たちは、レコードで始まり、様々なフォーマットのテープメディア、CD、LD、MD、DVDなど、一つの世代で多くのAVメディアを体験してきた。DVDが長期間劣化しないからいいとしても、主流のメディアが変遷していくことで、次のものに乗り換えていくしかなくなる。
パソコンだって、10年も経てばどんなものになっているか解らない。
インターネットなど、10年前は国民の多くが存在すら知らなかったものだ。
アトムはまだアシモだし、エンタープライズはまだスペースシャトルだが、やはり世の中は着実に、人の頭脳が思い描いた未来に向かって確実に進歩している。
もちろんできない物もたくさんあるに違いない。前にも書いたが、タイムマシンなどはその最右翼だろう。
こんな風に考えると、人間の人生というのは短いな、とつくづく思う。100年後の世の中すら見られないのだな、と残念に思う。しかし、願わくば、人類がその暗い未来を描いた小説などを現実のものにすることだけはないようにと思わずにはいられない。