由比敬介のブログ
レス・ポール
レス・ポール

レス・ポール

 先日、レス・ポールが亡くなったというニュースを電車内で知った。
 なんだか最近、大御所の死が続く。もちろん、いつだって誰か死んでるし、その中に著名な人物も数多い。
 だが、世間でどんなに有名でも、自分がどれほど驚くかというのは、また別の話である。

 5月の末に作家の栗本薫が亡くなり、翌日作詞家の石本美由起が亡くなった。無くなった時間にもよるのか、ニュースは同日に流れたケースが多かった。
 石本美由起は昭和を代表する日本の作詞家で、「悲しい酒(美空ひばり)」や「矢切の渡し(ちあきなおみ他)」などを書いた人だ。
 一方栗本薫は中島梓名義で評論なども書く、ミステリとSFを中心に活躍した作家だ。
 まあ、ニュースの扱いが磯本美由起の方が非常に大きかったのはテレビ局などとしては当然のことかも知れない。でもまあ、言っちゃ何だが、85歳まで生きて天寿を全うした方に比べ、まだ56歳という若さでなくなった栗本薫の扱いは、その作家としての仕事に比べて小さかった。

 ぼくは実は、栗本薫は1冊しか読んだことがない。だが、グイン・サーガという、130巻近い大著を著した作家は、おそらく世界でも以内に違いない。どうやらギネスに申請もしていないのか、載っていないらしいか、まさにギネス級の作品だ。どんな本屋でも、新刊(文庫書き下ろし)は必ずといっていいほど平積みされている。

 早川書房はローダンとグインで食っているという噂を聞いたことがある。
 この2作は、方やギネス認定の世界最長編小説(先日ドイツで2500巻を超えた)と、ギネス未認定の個人による世界最長編小説だ。ローダンは最初から複数作家で書かれているし、すでに最初の巻を書いた作家は二人とも死んでいる。ローダンは売れ続ける限り、書き続けることができる小説だが、グインはそうではない。栗本薫無くしてグイン無し、なのだ。

 これだけのものを書いた作家としては、無くなったときの扱いがきわめて小さいし、テレビのクイズ番組でもおなじみのみたいな扱いは、きわめて悲しい。読んでなくてもそう思うのだから、ファンはさぞやがっかりしたろう。

 さて、レス・ポールだが、レス・ポールと聞いて、最初に思い浮かぶのはギター以外のなにものでもない。個人的には、エリック・クラプトンが真っ先に浮かぶ。
 まったくもって、ぼくはフェンダーのストラスキャスターにあこがれた側なので、ギブソンのレスポールの音ではなく、ストラトなのだよ、などともしかしたら昔は、弾けないくせに語ったこともあるかも知れないが、ローダンとグインの比較ではないが、やはりレスポールは素晴らしいわけで、その名を冠したギーターはともかく、本人が死んでしまったのだな、と思ったわけだ。

 というより、「えっ!まだ生きてたの?」というのが実感だった。
 後で調べると94歳だそうなので、大往生というところか。
 だが、なんか感慨はあるのだ。ストラトキャスターが死ぬことはないし。

 ここで取り上げた3人の故人、全てのご冥福をお祈り致します。

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