由比敬介のブログ
ディオ-1
ディオ-1

ディオ-1

 ディオと言えば、私にとっては<ロニー・ジェイムス・ディオ>ELF、レインボー、ブラック・サバス、ディオというバンドに在籍し、ボーカルを担当していたディオその人のことだ。1948年生まれと言うことなので、現在56才。
 メジャー・デビューはELFらしいので1970年。ファーストアルバムは72年の「ELF」。ロニーが妖精というより悪魔にコスプレしたジャケットだ。クレジットにはRonald Padavona とある。本名だ。そして、Bass & Vocal。セカンドアルバムの「LA59」からは、ロニー・ジェイムス・ディオとなる。この辺りまではロックンロールバンドで、妙に彼のヴォーカルだがハードな印象を与える。ただ、このセカンドの方はいいアルバムだと思うが。非常にポップで聴きやすい。恐らく曲にはキーボードを担当していたミッキー・リー・ソウルの影響が強いと思うが、こんなアルバム、知ってる人はよっぽどのロニーファン以外にはいないだろうな。レコードは国内でも発売になったことがあるので、ファーストよりは知られているかも知れない。
 サードアルバムは75年の「trying To Burn The Sun」-太陽を燃やそうって、エンゲルベルト・フンパーディンクの全然原タイトルとは違う有名曲みたいなタイトルだが(ちなみにこのエンゲルベルト・フンパーディンクって、クラシック聴く人は、「ヘンゼルとグレーテル」っていう有名なオペラを書いた人だと思ってしまうことがある。こちらは、エンゲルベルト・フンパーディング・・・最後が濁るのだ)。
 このサードアルバムは、リッチーブラックモアが参加したとかしないとか、真偽の程は知らないが、確かにリッチーっぽいギターも入っていることは入っている。その上、それまでのロックンロールなELFとは一線を画すような曲調にもなっている。
 同時に、この後発表される「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」というアルバムにはELFっぽい「Black Sheep Of The Familiy」なんていう曲も入っているので、ELFからレインボーへの移行みたいなものがこのサードからレインボー・ファーストにかけては見られるので面白い。
 このころはまだ、最近のディオみたいなおどろおどろしい歌い方はしていないが、時々リキの入ったコブシみたいなものは既にある。どこかのディオの紹介サイトで、メタル界のサブちゃんみたいな書き方をしていたが、ある意味、言い得て妙という気もしないではない。
 ディオのボーカルの魅力は、裏返すと、嫌いな人にはそここそが一番嫌な、からみつくようなコブシ回しにこそあるので、いわば諸刃の剣のような感じだ。例えば、ロバート・プラントとか、ジョン・アンダーソンとか、グレッグ・レイクとか、ロブ・ハルフォードでもいいんだが、ロニー的な歌手というのは欧米にはあまり多くない。ハイトーンでシャウトするみたいな表現に合うのは、例えばイアン・ギランでさえ、それほど演歌っぽくない。
 ディオはあの声で、高い音を出す。さすがトランペットで鍛えただけのことはあるが、だがストレートに高いところへ来るのではなく、ロニーならではの、独特な節回しがあるのだ。
 だからこそ、オジー・オズボーンの後のブラック・サバスで、そこそこオリジナリティーの高い(レインボー的という言い方もあるだろうが)ボーカルを維持できたのだと思う。オジーの声はやはり、ヨーロッパぽいから。その点、ロニーのボーカルは土着の臭いがする。
 リッチー・ブラックモアが、ギラン、デヴィッド・カヴァーデールと来て、どうしてロニーだったのか、実は理解に苦しむところがないわけではない。もちろん、歌は上手いし、声量はあるし、音楽的な趣味も近い物があったことは伺えるが、だとしても、リッチーがバロックを好きなほど、ロニーは好きじゃない気がする。
 中世的な物への憧れというのは、例えば日本で言えば、戦国時代かぶれみたいな物で、ユーライア・ヒープにしてもウイッシュ・ボーン・アッシュにしても、多くのバンド、特にプログレでは、そういう傾向がある。
 レインボーのファーストに入っている「Temple Of The King」やサードの「Kill The King」はもとより、「Gates Of Babylon」「Staegazer」なんていう曲も、実際は中世のお話しではないが、彼らの頭の中には非常に中世的な世界があったであろう事は想像に難くない。
 バッハの音楽というのは中世の音楽ではもとより無く、近世の作曲家だ。
 別にその辺りを明確にする必要は全くないが、バッハが大好きと公言してはばからないリッチーが、バンドで演奏したのは第九であって、ブランデンブルク協奏曲じゃないし、彼はクラシックナイズされていたディープ・パープルの音楽をハードロックに変えてしまった人だから、むしろそういう意味では、ロニーをハードロックに引きずり込んだら「売れる」に違いないと踏んだのではないか?
 そんな気さえしている。
 レインボーに関しては以前に書いたので、あまり書くつもりはないが、ロニー・ジェイムス・ディオの音楽は、結局のところ、このレインボーが大きな転回点になっていることは間違いない。
 私は個人的にはロニーのファンなので、何でも好きなのだが、メタル・ロニーよりもむしろ、むしろロックンロール・ロニーの方が好きなんだなあ。
 さて、レインボー以降のロニーについてはまたいずれ。

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