由比敬介のブログ
雨

 一天にわかにかき曇り・・・・というこてこての小説のフレーズがぴったりの雨だった。
 朝からいい天気で、気温も上がり、半袖でもいいような陽気だった。風だけが強く、窓を開けていると棚の上のものを吹き飛ばしそうな、ある意味、それだけが不穏な兆しだった。付近のマンションなども、洗濯物や布団を干している風景がちらほら。
 4時近くなり、気づくと外が暗くなっている。東の空は青空だが、西の空にはいやーな黒い雲がもくもくと・・・・雨が降るかなと思わせた、それからまもなく、最近では経験のない西風に乗って、雨粒が窓と網戸をたたいた。あわてて窓を閉めた。
 たまたま出かけなくてはならず、大粒のちょっと激しい雨脚に、商店街はあわてていた。特に店先に勝因を出している八百屋などは、半分諦め気味に商品を片付けたり、覆いをかけたりしていた。
 足下にもすぐに水たまりができ、靴とジーンズの裾をぬらした。
 天気予報とはたいしたものだと、普段は当たらないとよく言われるが、そうでもないと思い直す大雨だった。このところ雨が多く、日照が少ないが、今日の雨は割合気持ちのいい雨だった。
 外に引っ越し屋の車が止まっていて、朝からの晴天は、少々暑いが引っ越し日和であった。しかしこの雨はちょっとかわいそうな気がした。通り雨にしては時間も長かったし。
 そういえば先日、ふと思った。
 ロンドンなどは曇りの日が多いと言われるが、もし日常がほとんど雨というのだったらどうだろう?
 月に1日か2日しか太陽を見ることがなく、夜空にも星が見えなかったら、だいぶ違った日常になることだろう。
 アイザック・アシモフの小説に「夜来る」というのがあるが、これは何千年だか何万年に一度の夜が、ある惑星に訪れることを描いた小説だ。
 自然の営みというのは、人間の日常ばかりでなく、文明や文化に大きな影響を与えてきた。たかが雨、されど雨なのだが、毎日の中では単に、出かけるときは雨は降らないで欲しい、その程度のものなのだ。
 ともあれ、雨が降った後は少し気温も下がり、過ごしやすくなった。まずは重畳。

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