由比敬介のブログ
超人ハルク
超人ハルク

超人ハルク

「超人ハルク」はアメコミの「Incredible Hulk」を向こうでドラマ化したものを日本で放映した時のタイトルだ。私はオリジナルのコミックを知らないので、どの程度コミックとドラマ化されたものが違うのか知らない。
 また、昨年公開されたハリウッド版の「ハルク」も見ていないので知らない。
 
 私の中ではドラマと、それに続く一連の映画版ハルクがすべてである。言い方を変えると、ルー・フェリグノがハルクをやり、変身前のバナー博士をビル・ビクスビーが演じたシリーズだけだと言うことだ。
 大量のガンマ線を浴び、怒りをきっかけにハルク(ルー・フェリグノ)に変身する体質になってしまった科学者デヴィッド・バナー(ビル・ビクスビー)は、自ら死んだことにして、自分の身体を元に戻すためにアメリカ中を放浪する。最初に博士を怪しいとにらんだ新聞記者のジョン・マクギー(ジャック・コルビン)は、執拗にハルクを追いかけ、デヴィッドに迫り、その都度デヴィッドは安住の地を求めてその土地を後にする、という話だった。ほとんどの回で、最後にデヴィッドが、道路でヒッチハイクをしているシーンが流れ、私有を帯びたテーマがオーヴァーラップして番組が終わる。
 私はこれが大好きだった。家で飼っていた犬に、私一人が「ハルク」と呼びかけていた。調べてみると、アメリカでは90回近いシリーズになっているようだ。
 日本で放映されたのは約半分である。なかなか人気があったのだ。アメリカでも日本でも。この手のSFとしては、かなりトーンが暗く、悲哀に満ちたデヴィッドの人生が、ハルクそのものよりもクローズアップされていた。
 ハルク役のルーはボディビルの大会でも優勝したことのあるマッチョで、緑色に塗られた身体と、白いコンタクトをはめた目、ぼさぼさの髪でハルクを好演していた。
 私はビル・ビクスビーという俳優を、この作品以外で知らないので、どちらかというとアメリカのテレビ俳優なのだろう。
 アメリカやイギリスのこういったドラマは、あまり最終回というのがない。謎の円盤UFOなど、UFOは結局謎のままで終わっちゃってるんじゃないだろうか。このハルクも、実はテレビシリーズで何も解決していないようだ。
 ところが、人気があったせいか、TVの長編映画の形で、TVシリーズ終了後に何本か作られている。中にはデアデビルと共演なんて言うのもある。デアデビルはこれもアメコミのヒーローで盲目の弁護士だか何かだ。これもハリウッド版の映画は見ていない。
 ビルは、よっぽどこのハルクに愛着があると見えて、自分でもメガホンを取っている。既に90年代に他界しているようだが、やはりこれも彼が監督をした「超人ハルク 最後の闘い(The Death Of The Incredible Hulk)」がDVDで発売されている。直訳すれば当然、「ハルクの死・・・・もっと直訳すると、驚異的な大男の死」なので、まさにハルクの最後を描いた作品だ。すでに天敵のマクギー記者も登場せず、しかしバナー博士の目的は自らの身体を元に戻すことだ。
 スパイとの愛も絡め、バナー博士は実験が成功する前に事件に巻き込まれ、変身したハルクは敵を倒して絶命する。バナー博士は、女スパイに自分と同じ境遇を見ていた。彼女をスパイの道から抜け出させ、自由を与えること、そして自らもハルクの束縛から、今一度の実験で戻ることを夢見ていたが、叶わぬ夢となる。バナーの末期の言葉は、「これでやっと自由になれた・・・・」だった。
 やはり最後まで、ハルクはハッピーエンドを拒んだ。これは、長い間ハルクというよりバナーを演じてきたビルだからこそできた作品であると思う。この作品は首尾一貫、人間の悲しさ、人生のはかなさを描き続けてきた。そして最後、安寧が死でしかなかった男は、少なくとも一人の女性を救ったのだ。こてこてだが、このシリーズに相応しい掉尾。これまで購入したDVDの中でも1,2を争う作品だった。
 あ、ただ普通の人はきっとそう感じないので、ハルク大好きな私なりの見方ですので、悪しからず。

 hulk1.jpg
ハルクだ!

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