デヴィッド・カヴァーデールとの出会いは、もちろんディープ・パープルだが、長い間、彼のソロアルバムが私の愛聴盤であった。
デヴィッド・カヴァーデールはイアン・ギランの後を受けて、「Burn(邦題:紫の炎)」からディープ・パープルに参加した。当時、それほど歌がうまいとは思わなかったが、非常に味のあるブルージーな声質のヴォーカリストではあった。「Stormbringer(邦題:嵐の使者)」「Made In Europe」「Come Taste The Band」という4枚のアルバムを出してディープ・パープルが解散した後、2枚のソロアルバムを出している。
最初のが「Whitesnake」2枚目が「North Wind」この2枚が特に好きだった。中でも「Whitesnake」の2曲目「Blindman」という曲が好きで、繰り返し聞いていた。もちろん今でも好きだが、大分聴く機会も減った。
彼の歌い方はハード・ブルース・ロッカーという感じで、かなりルーズで、ねちっこさを感じることもある。酒場で酔っぱらいが眠そうに歌っているような雰囲気もある。Whitesnakeをバンド名にしてから、特に、アメリカで当たった頃は大分高音のシャウト歌手みたいになってしまったが、このソロの頃は、あまり高音も出ていなくて、それが魅力でもあった。
ディープ・パープルではリッチー・ブラックモアとトミー・ボーリン、ホワイトスネイクではミッキー・ムーディーとバーニー・マースデン・・・そのあとは、ジョン・サイクスだのヴィヴィアン・キャンベルだの、エイドリアン・ヴァンデンヴァーグだのスティーヴ・ヴァイだのメタル・ギタリスト目白押しだが・・・ジミー・ペイジなんてのもあるが、とにかく、誰と組んでも、デヴィッドはデヴィッドなので、私にとっては、ロニー・ディオを聴いているのと同じに、幸せに浸れるわけだ。
ディープ・パープルというメジャーなバンドでスタートし、初期のホワイトスネイクでは「フール・フォー・ユア・ラヴィン」をイギリスで当て、ジョン・ロードと縁を切ってアメリカに渡ってからは、「Serpens Albus(邦題:白蛇の紋章)」は世界的に大ヒットした。考えてみると、リッチー・ブラックモアよりも成功している。
このアルバムのタイトル、Serpens AlbusのAlbusというのが意味がよく分からない。辞書で引いても出てこないし。本当に紋章っていう意味なのか?しかもこのタイトル、CDでは、読めないくらいに小さい。タイトルなのかも怪しいくらいだ。
しかしビルボードチャートの上位に入ったりすると、コマーシャリズムとか、アメリカナイズとか言われるが、それほどこのアルバムはアメリカンな作品ではない。
確かにジョン・ロードと一緒にやっていた頃は、ブルース指向なのに、なんかちょっと野暮ったい部分があって、突然このアルバムから音がクリアになった感じがして、何かが違うが、それは多分、ポリープの手術で高音が出るようになったので、心機一転したデヴィッドの心象の表徴なのだと思う。確かにこのアルバムでのジョン・サイクスの存在は大きいけれど、やっぱりホワイトスネイクはデヴィッドの個人バンドなのだ。
それは、ディオが何をやろうとディオであるように、存在感の大きさというのは否めない。
ジミー・ペイジとのコラボレーション(ロバート・プラントの真似のように言われるが、全く違うぞ!)もなかなか良かったけど、1枚で終わり、最近ではたまにソロアルバム出したりしてる。お金もあるし、美人の奥さんと悠々自適なのかも知れない。年も年だけど、まだまだがんばって欲しい。
ブルージーなソロアルバムでも出してくれないかな。