由比敬介のブログ
バレンタイン
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バレンタイン

 明日はバレンタインデーだ。英語では「St. Valentine’s day」なので、通常の日本語表記ならヴァレンタインデーとなるのだろうが、街中で多く見かけるのは「バ」だ。
 「聖」というくらいだから、語源となったバレンタインこと、ウァレンティノスは、聖者だ。ローマの司祭らしい。この人が処刑されたのが紀元270年の2月14日だから、明日が記念日なのだ。
 この人は、後ろ髪を引かれないよう、兵士に結婚を禁じたローマ皇帝クラウディウスに反対して処刑されたらしい。結婚さえしなければ、喜んで戦争に行くと考える皇帝だから、実は強い皇帝で「ゴーティクス」と呼ばれている。これはゴート人征服者の意味だ。当時の皇帝としてはそれほど悪い皇帝ではなく、きっちりローマのために戦い、ドナウ川流域のゴート人を押さえ、そのいい気の秩序回復にもがんばったらしい。コンスタンティヌスがクラウディウスの後裔を名乗っていたということもあって、著名になったと、辞典にはある。
 ところが面白いことに(interestingという意味で)、このクラウディウス自身も、疫病で270年に死んでいる。別にヴァレンティノスに祟られたわけでもないだろうが、不思議なことである。今と違って、皇帝に反対したくらいで殺されてしまう時代だから、ヴァレンティノスという人も、根っからの正義漢、聖職者だったのだろう。
 このクラウディウスという名前の皇帝は、実はもう1人いる。こちらの方がもっと有名だが、これより前、紀元直後、カリグラの後、ネロの前の皇帝だ。映画もあるので、カリグラよりもカリギュラの方が通りがいいと思うが、実は辞書などでは、「カリギュラ」ではあまり出てこない。
「カリギュラ」という映画は見ていないが、「やらしい」というイメージがある。ネットで検索すると「ヘア解禁版」なんて載っているから、推して知るべしと言うところだ。AVではないが、AVもどきの人生を送った皇帝なんだろう事は想像が付く。この人が第3代のローマ皇帝。そして、第4代がカリグラの治世を改めていい政治を行ったクラウディウスだ。英語で<Claudian>というと、ティベリウスからネロまでの時代を指すのだそうだ。初期ローマ時代ということだろう。
 このクラウディウスは2番目の奥さんに毒殺される。この奥さんが「小アグリッピナ」と、頭に小さいという時を付けられてしまうアグリッピナで、連れ子こそがネロに他ならない。ネロが暴君であることは有名だが、つまり、クラウディウスはカリグラとネロというひどい皇帝に間に、短期間いた名君だったということらしい。
 まあ、この1世と2世の間にどんな関係があるか解らないが、皇帝としてはどちらも、そこそこな皇帝だったようだ。ヴァレンティノスが処刑されたのはつまり、「国を弱くする献策」というような意味合いなのかも知れない。
 そのヴァレンティノス、つまりバレンタインが闘ったのは兵士の結婚だったが、その後、この季節に小鳥が発情することと関連して、親子が愛の教訓と感謝を書いたカードを交換する火となったのだそうだ。女性が男性に愛を告白するようになったのは、20世紀に入ってからだという。一方的に女が男でない地方もあるようだが、多くは女性が男性に愛を告白したりプレゼントしたりという風習のようだ。
 日本でチョコレートを渡すようになったのが、チョコレートメーカーの仕掛けであることは知られているし、考えてみれば当たり前のようなことだが、実は、昭和11年と27年に「モロゾフ」が仕掛けて失敗したらしい。モロゾフは関西の会社なので、関西でしようとしたのか?
 その後、昭和33年にメリー・チョコレートがヨーロッパからの移入という形で新宿伊勢丹で始めたのが現在の流行の最初である。
 だから、バレンタインにはメリー・チョコレートを送るのが本当なのかも知れない。モロゾフは悔しいだろう。
 いずれにしても、その風習が始まって47年目という事になるわけだ。半世紀近くが立つ。3月14日にはホワイトデーなどというのもできている。こちらは菓子組合の創設なので、完全に菓子業界に踊らされているわけだ。
 女の子から男に送る日だけがあるのは不公平だという女の子の声も後押ししているのかも知れないが、レディーファーストという言葉を持ち出すまでもなく、日頃から男の方が贈り物をしたり、驕ったりが(どちらかというと)当たり前の世の中なのだから、行事としては片方だけで十分だと思うのだが・・・・

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