労働保険料の広告が駅や電車の中に結構貼ってある。アイドルの熊田曜子がイメージ・ガールになっている。
労働保険料をあれだけ無駄なことに使い、失業保険を以前に比べるとかなりタイトなものにしているにもかかわらず、いったい何を考えているのだろう。そもそもわざわざ第一線で活躍しているモデルを使うことで、企業が労働保険をしっかり収めるなどと考えているとしたら、厚生労働省の程度が知れるが、おそらくそんなことではないだろう。相変わらず、無駄な金遣いをしたいだけの話だろう。
かつて江角マキコが社会保険庁のCMに出たとき、自身が国民年金を払っていなかったことが問題になったが、問題はそんなところには無い。彼らは国民年金保険料の意味を最も分かっていないに違いないのだ。江角マキコに高い出演料を払うことで国民年金を払う人間が増えるはずは無い。国民年金の徴収率を上げたいのなら、それを払ったことでいずれは意味がある年金を公平に受け取ることができる年金制度を確立するしか手は無いのだ。徒に有名な女優やモデルを使って金のかかるポスターを作り、広告費を使うなら、年金に回せというお話だ。仮にそれが、年金保険料や労働保険料ではなく、税金から出る予算で計上されるなら、そんな広告ではなく、しっかり国民に還元される形で年金や失業保険の金額を1円でも上げたほうがいい。
日本の借金700兆円を、少しでも下げて行きたいなら、まず各省庁が、予算以下でいかに素晴らしい成果を上げたかで公務員を評価するように制度を変えるだけでいい。逆に、予算を満額使うようなプロジェクトはすべてマイナス評価にすれば、あっという間に国家予算額は減るに違いない。もちろん、それほど単純なことではないのは百も承知だ。結局それは国家の仕事を請け負う業者にしわ寄せが行くからだ。
しかし、現在はその業者も、必要以上に多くの利益を国家の仕事から得ているケースが多いに違いないのだ。
国の借金ばかり増えていくのに、そこに携わる多くの政治家や役人が、そのあおりを受けていないというのは非常におかしな話だ。バブルがはじけ、国民が不景気の波の中であえいでいたが、誰よりもその不景気の波を最初にこうむるべきが政治家と役人であるべきではないだろうか。
それでもいいという人だけが、政治家や公務員を目指せばよい。名誉や安定のためだけに、それを選んでるとは思わないが、同じには、それだけの危機感と覚悟を持った人に就いてほしい職業だろう。
少なくとも、労働保険を払いましょうの広告は、無駄以外のなにものでもない。