由比敬介のブログ
SFマガジン
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SFマガジン

 SFマガジンは早川書房が刊行している、恐らく現在では、唯一のSF専門雑誌だ。もちろん、調べたわけではないので間違っているかも知れないが。ずいぶん昔は「奇想天外」とか、「SFアドベンチャー」なんていう本も出ていた気がする。
 実を言うと、数冊の例外を除いて、SFマガジンは約30年近く買っていない。例外というのは「ペリーローダン」特集を除いてと言うことだ。
 1959年の刊行なので、歴史は私の年齢と一緒だ。私が初めて買ったのは、1971年の終わりか72年の初めだったと記憶している。毎月楽しみだった。
 一つには手塚治虫の「鳥人大系」と、平井一正+石森章太郎の「新幻魔大戦」という二つのマンガであり、何より、SFに関する情報を、中学・高校という年代の私にたくさん教えてくれた。
 当時連載していて記憶にある作品というと、半村良の「産霊山秘録」、内容もタイトルも忘れたが、田中光二の小説も面白かった記憶がある。また、「日本沈没」とか、「ゴエモンのなんとか・・・」いうような、個人的にはあまり好みではない小説でしか知らなかったような小松左京の「結晶星団」なんていうのも印象深い。
 しかしなんと言っても、海外の短編の宝庫だった。ラリイ・ニーヴンの「無常の月」を読んだときの感動は今でも忘れない。
 E.E.スミスの「渦動破壊者」も確かSFマガジンだった。
 実はあまり覚えていない。いつまで買っていたのかも記憶にない。
 ふと思い出した。山野浩一の「メシメリ街道」が好きだった。
 しかし、この青年期に読んだSFマガジンという雑誌が、私に及ぼした影響は大きい。今では、SFというジャンルは、非常に漠としていて、SF映画、SFマンガといった小説文や以外の方がメジャーなように感じる。
 最近のSFを読むと、やむを得ないがパソコンが全く世界を変えてしまったようにさえ感じる。コンピュータがHALだった時代とはSFそのものが様変わりしているように感じる。
 20世紀が生んだSFというジャンルは、科学の進歩とともに、非常にハードなSF(ヒューゴー・ガーンズバックが提唱したscientific fiction)から、スペースオペラや、ニューウエーブをフィルターに、サイバー・パンクを通り抜けて、再びScientific・Fictionになったような気がする。
 今でも50年代、60年代のアメリカやイギリスの作品が非常に面白く感じるのは、現代のものよりもセンス・オブ・ワンダーと荒唐無稽さが溢れていたからなのだという気がしてならない。
 例えば昭和30年代40年代のアニメやマンガと現代のマンガの大きな違いはリアリズムだと思う。もちろん、非現実的な設定や内容はたくさんあるが、作品の中にリアルな世界を構築していくことがどちらかというと求められている感じがある。
 これはSFでも同じで、単純に「光より速い」乗り物を出すことはなかなか難しかったりする。現在の科学から導き出されない非現実的なテクノロジーや、理論を書こうとすれば、それなりの裏付けや、理屈を必要とする。
 それが小説を必ず面白くするわけではない。
 私がローダンを続けて読める理由の一つは、恐らくその荒唐無稽を、40年間続けているところなのかも知れない。今のSF作家には「グッキー」は書けないだろうな、と言うところだ。
 久しぶりにSFマガジンを買ってみようかな。・・・・がっかりするかも知れないし、新たな目を開かせてくれるかも知れないからな。

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