由比敬介のブログ
テレビで集団強盗告白
テレビで集団強盗告白

テレビで集団強盗告白

 日テレの「カミングダウト」なる番組で、集団で窃盗をしていたと告白したことが問題になっている。本当ならば(本当だと番組で認めているわけだが)、ただの犯罪である。
 ニュースでは、未成年だからか名前は伏せてある。しかし、そもそも芸能人で、しかもテレビで発言した内容に対して、今更名前を伏せるのはどうなのだろう。ここでも敢えて名前は書かないが(そんなことが趣旨ではないので)、あまり意味のあることだとは思えない。
 事務所は小学生の頃だと言っているようだが、実際に番組の録画を見ると、とうていそうとは思えない。ついこの間のことのような話しぶりだ。
 番組では、店へのお詫びと、万引きは犯罪である胸がテロップで流れたようだが、問題は、若気の至りで行った犯罪故、そしてたかが万引きであるから、というような、非常に軽い気持ちがスタッフに見えることだ。
 そもそも話の内容を聞けば、万引きですらなく、普通かそれ以上の窃盗である。万引きというのは店内で店員の目を盗んで商品を盗む行為だが、倉庫に忍び込んで段ボールごと盗むのは「万引き」ではないだろう。
 尤も、私個人としては、窃盗であるか万引きであるかで罪の軽重を問うべきではないと思っている。
 かつてレコード店で10年ほど勤めた経験があり、万引きの悔しさは骨の髄までしみて解っている。取られれば悔しいし、万引き防止装置の誤動作などで、丁重に問いかけてみても、思い切り切れられたりすると、立つ瀬がない。たとえ何年経とうが、当の犯人が、思い出話のように笑って済まされることではない。
 そして社会の認識も、「いい年して万引き」とか、「恥ずかしい」とか、「万引きくらいならともかく」とか、異様に甘い。それは確かに、殺人と万引きのどちらが重いかと問われれば、そもそも質問の意図そのものに間違いがあると言わざるを得ない。だが、万引きとスリ、窃盗はどのように違うかといった問題は、そもそも当に値しない。なぜならそれは一つの犯罪だからだ。
 そういう意味では今回の件も、私は「万引きではなく窃盗」と書いたが、それは世間的な罪名の認知という意味であって、罪の重さには代わりはない。
 まして、罪の意識も余り無く、テレビでそれを暴露して笑いのネタにするなどは論外だ。
 それが原因かどうかは別として、その会社は倒産したという。
 それがどんなタレントであろうが、倒産の事実にかかわらず、自らしたことを、もっと重く捉えるべきだ。そして周りも、そのことを聞いた時点で、そのことを知らしめるべきだし、そのような認識であって欲しい。
 多く人は、被害者の立場に立ってみないとなかなか事の本質が見えてこないことがある。まさにこれはそういう一件であるし、殺人事件の被害者の集まりなどが、国や行政、司法相手にいくら訴えたところで、なかなか解ってもらえない事実の一端がここにはある。
 憂うべき事ではあるが。

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