巨人の星

 今年の巨人は弱くて、今日で5連敗だというが、取り敢えず6連敗まではがんばって欲しいところだ。
 さて、先日も「巨人の星」が好きだという話をちょっと書いたが、「巨人の星」という漫画は、もうかれこれ40年近く前の漫画だと思うが、知名度は高い。やはり一時代を築いた漫画だ。
 野球漫画というと、必ずしも全部読んだことがあるわけではないが、思いつくのは、「巨人の星」「ドカベン」「男どあほう甲子園」「アストロ球団」「キャプテン」「プレイボール」「侍ジャイアンツ」「あぶさん」などだが(「タッチ」も野球漫画なのかな?なんとなく)、大きくプロ野球と高校野球に分かれる。そして、水島新司が描く作品は基本的に関西に拠点があるので南海だったり(今はソフトバンクなのかな?読んでないが)、阪神だったりが舞台で、在京と言うことになると、まず巨人しか舞台にならないような気がする。
 巨人、大鵬、卵焼きを知っている世代だが、個人的にはどれもぴんと来ない。「巨人の星」が好きでも巨人は好きではなかったし、当時は相撲に興味もなかったし、卵焼きよりトンカツが好きだった。
 さてそんな「巨人の星」だが、歌にもあるように、これは星親子のど根性物語だ。
 梶原一騎は当時、スポーツや学園関連の沢山の漫画の原作をしているが、その多くは、「やる気」と「根性」、「友情」と「男らしさ」という、全体的な押し出しはかなりステレオタイプの作品が多かった。戦争(第2次世界大戦ではなく太平洋戦争)をかなり引きずっていたし、ほとんどの作品で男泣きが随所に見られた。
「巨人の星」も例外ではなく、伴と星の友情はホモすれすれでさえあった(語弊は覚悟)。何ページかに1回は泣いていたし、友情や愛情で殴るシーンもやたら多かった。しかしとても面白かった。
 私はこの面白さは、星と花形という2大超人の故だと思っている。左門のような単純な努力家タイプが主人公であれば、あれほど面白くはなかったはずだ。花形はとにかく天才というキャラで、水鳥は水面に優雅に浮かんでいても、水中では必死で水を掻いているという喩えなどどこ吹く風、星飛雄馬の姉明子とのデートでは、堂々と昔の自慢話をしたりしている。
 大リーグボール1号を打ち砕いたのはオズマだったが、誰よりも早く魔球の秘密を見破るのは花形で、象徴的なのは、消える魔球の時、努力肌の左門は魔球の秘密を80%まで見破っていたが、その時点で花形は100%見破っていた。
 しかも花形の超人性は能力に止まらず、花形モータースの社長令息という肩書きまでをも与えることで、完璧にされていた。
 梶原一騎という人は、なぜか悲しいお話しが好きで、最終回はほとんど私が知っている限りの作品では、主人公がぼろぼろになっていた。タイガーマスクでは、伊達直人は子供を助けるために交通事故で命を落とし、夕焼け番長では赤城忠治は、オリンピックを目指しながら、友人を助けるためにアキレス腱を切っていた。伊達直人は孤児院の出、赤城忠治は両親を亡くし、祖父に電車を自宅に変えた家で育てられていた。星飛雄馬も、貧乏長屋で暮らし、原作では寂しく去っていく。
 その去る前に、大リーグボール3号で完全試合を達成するかしないかという試合でも、巨人、中日双方が譲らず、コミッショナーに提訴したという、およそ漫画では考えられない不完全燃焼の終わり方を選んでいる。
 恐らくタイガーマスクもそうだし、巨人の星も、テレビアニメがなければ、これまで残ったかどうか非常に疑わしいと私は思っている。どちらの最終回も、テレビ版は非常に感動的で、こてこてのドラマツルギーに支配された内容になっている。もちろん、最終回だけではなく、そこに到る数回の経緯で、どんどん盛り上げていくのだ。
 私は巨人の星のアニメの中で、最も好きなシーンがある。それは、大リーグボール3号の秘密を探っていた父親の一徹が、自ら同じフォームで投げてみて、腕に異様な痛みを感じる。病院へ行った一徹は、そこで大リーグボール3号に隠された秘密を知る。
 その後、雨のそぼ降る公園で、ブランコに揺られながら、「飛雄馬よ、おまえは自分の野球生命を投げていたのか!」と絶叫するシーン、ここが一番好きだ。
 アニメ版の最終回は、漫画と同じ「アウトかセーフ」かを審判が迷うシーンはそのまま使われているが、コミッショナーに提訴などという尻つぼみの内容ではなく、一徹が、アウトかセーフかなどと言うことはどっちでもよく、おまえは俺に勝ったと、飛雄馬に言うことで、見事に決着を付けている。最後の星飛雄馬が一人行進している画は、どうもいただけないが、あの長編を締めくくる最終回としては非常に良くできている。
 今となっては古くささも随所にあるし、突っ込みどころは数え切れないほどあるのだが、それでも尚、作品の持つエネルギーは色褪せていない。
 あの漫画を見て、努力することの素晴らしさを学んだと言うこともないし、巨人ファンになったわけでもないが、作品そのものが持つ面白さは、ドラマティックと言うことの素晴らしさを教えてくれたと思う。

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