反対語というタイトルで、カテゴリーを文学というのもどうかと思うが、まあいいだろう。
友人とコーヒーを飲んでいて、砂糖の話になり、「甘いの反対は何か」ということになった。「辛い」だと思われるが、では酸っぱいの反対は何か?と言うことになったときに非常に難しい。
そもそも、甘いと辛いは本当に反対語なのだろうか?
反対語は対義語、反意語ともいうが、読んで字のごとく、反対の意味を表す言葉だ。上と下、大きいと小さい、長いと短いなど一瞥して反対の意味だと解る言葉も多い。ある尺度があって、その尺度の両端にその意味を置くことができるような言葉だ。ところが、「甘い」という言葉は非常に曖昧な味覚を表現している。何となく、甘い物の対極にあるのは辛い物のような気がするが、果たしてそうだろうか?
私は甘いの反対は「甘くない」だと言ったのだが、では、長いの反対は「長くない」かというとそうではない。「~でない」を反意語としてしまうと、何でもそれで良くなってしまうから意味がない。
そもそも「長い」と「短い」も、何と比べて長いのか短いのかという尺度であり、意味を考えていくと、よく分からないことになる。但し、反対かどうかという意味に於いては「長い」と対になるのは「短い」だ。
であれば、感覚的なことに依存して、「甘い」の反対が「辛い」でもいいが、じーっとこのことを考えていると、実は甘いと辛いが本当に対になるのかどうか解らない。なぜなら、味覚は二者択一ではないからだ。甘いと辛い以外にしょっぱい、酸っぱい、甘酸っぱい等、微妙な言い回しが存在する。長さは二者択一だ。長いか短いだ。ちょうどいい等という表現を持ち出すのは意味がない。
そうしてみると、反対語というのはその意味するところが、二元的な対立に置き換えられない限り存在しないと言うことになる。
楽しいの反対が悲しいは、では腹立たしいはそれらの感情と比較してどの辺りに位置するか、と考えたときに解らなくなる。もちろん、へりくつと言われればそれまでだが、例えば試験などに出る次の言葉の反意語を答えよなんていう問題は、一度じっくり見つめ直してみると、案外首をひねるものが少なくないような気がする。
でも酸っぱいの反意語は、やはり酸っぱくないだろう。
四大味覚「甘さ」「塩辛さ」「酸っぱさ」「苦さ」が有名ですが、どれが反対と言われても、残念ながらどうも人それぞれのような気がして難しいですよね・・・。更に辛さにもいろいろあるし、「旨味」っても有りのようですよ。