由比敬介のブログ
銀河帝国の興亡-アイザック・アシモフ
銀河帝国の興亡-アイザック・アシモフ

銀河帝国の興亡-アイザック・アシモフ

 アイザック・アシモフは、もちろん最近映画化された「アイ、ロボット」の原作者であり、SF界の巨匠であるとともに、ミステリや科学の解説書も多数書いている。人間タイプライターとも呼ばれていたらしい。

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「銀河帝国の興亡」全3巻は、アシモフの「Foundation」「Foundation And Empire」「The Second Foundation」の創元推理文庫版邦訳のタイトルである。早川書房からはほとんど原題通りのタイトルで別訳が出ている。
 実際は「Foundation」シリーズとして、アシモフが亡くなる直前まで、銀河系を舞台に書き継がれることになった作品であり、しかも彼のロボットシリーズなど、ほとんどのSF作品を関連づけて、一つの銀河史を形作る作品群の嚆矢となった3編である。
 私にとっては、以前にも少し書いたが、最初に読んだ文庫作品で、なおかつ最初に読んだ子供向けでないSF作品である。
 1951年から53年にかけて書かれた作品で、今となっては50年も前の小説であるし、ましてSFである。この50年間にどれだけ科学が進歩したかを考えると、科学をその中心に置くことが多いSFとしては、古びてもやむを得ないかと思うが、実際は今読んでも古びていない。
 遠い未来、人類が銀河系の隅々まで生活圏を広げている時代、銀河帝国が形成されていたが、その崩壊と続く暗黒時代を心理歴史学(サイコヒストリー)という学問で予測した科学者ハリ・セルダンは、その暗黒時代を縮めるために、銀河の両端に2つの「ファウンデーション」を設置した。という設定で始まるこの作品は、銀河系に人類史かいない、現代の「人間原理」を地でいくような作品で、小説としては批判されることも多い。
 しかしそもそもが小説の命とは、読んでもらってナンボであり、読者の数と作品の価値は比例していると思う。評論家や歴史が、いかに作品を褒めちぎろうと、読者の少ない作品は多い作品に比べて劣るのだ。
 この作品がアメリカや日本、それ以外の国で今までどれほど読まれているか解らないが、超一流の名作であることは確かだ。
 ストーリーとしては、セルダンが設置したファウンデーションが予測不可能な超能力者ミュールによって陥落した後、第2ファウンデーションがどこにあるかの謎を追いながら、結果的にファウンデーションが当初の目的を果たすといった内容だったと思うが(大分前に読んだので。但し数回)、非常に面白かった。
 アシモフがミステリ書きだからというわけからという単純な理由ばかりではないと思うが、なかなか想像力をくすぐる。尤も、小説が多くの場合、謎を秘めて最後にそれが判明するというのはある意味当然のことで、それがミステリやSFに特有であるというわけではない。
 この小説でも「ファウンデーション」とはそもそも何かとか、銀河の果てにある第2ファウンデーションはどこにあるのかとか、謎の設定の仕方そのものが面白い。
 アシモフはこの後、「鋼鉄都市」「裸の太陽」というSFミステリを書くが、その芽が既にここにあるのだ。この2作は人間の刑事と、ロボット刑事が殺人事件を解くというものだが、後期のファウンデーションシリーズでは、このロボット刑事が活躍する。
 さて、今回ここに取り上げたもう一つの理由は、私は早川書房版よりもこの創元推理版の方が表紙絵が好きなのだ。今見ても懐かしさも含めていい表紙だと思う。大きく引き延ばして部屋に飾りたいくらいだ。
 久々に思い出して、ふと書いた次第。
 最近こういう表紙絵ってあまり見かけないな。特にSFはコミックと見まがう表紙が増えてきた。別にあれでもいいが、個人的にはあまり好きになれない。
 久々に、また読んでみよう。
 

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