朝から雪だった。実家で法事だったので、川越に帰った。
思いの外川越は午前中大したことはなく、積もってもいなかった。しかし法事が終わってみると、かなり地面は白くなっていた。
雪の日はやはりことさら寒く、北国に旅行をしたような感じさえする。
今年は日本列島は全体的に雪が多い。関東のみ、積もる形での初めての雪ではないだろうか。もちろん北関東は別な部分もあるが。
こんな日が毎日のように続き、何メートルも屋根に積もることを考えると、やはり厳しい。厳しいという言葉では片付けられるはずもないが、思う以上に厳しい。
雪というのは、雪国にでも住んでいないと、なぜか心が、幾つになっても、わくわくするような感じがある。もちろん、寒いし、雪かきは少しでも大変だし、翌朝の出勤は多くの人が大変だが、それでも、少ない雪だと、どこかがっかりすることがある。
雪が持つ不思議な景色と、あの雨などに比べるとゆったりした降り方、しろというイメージ、意外に多くの要素が、本来は嫌なはずの雪を、温かなイメージに変えている。
どこかに出掛けるときも、雨よりは雪の方が気が楽だったりもする。交通機関など、雨では滅多に止まらないが、雪では相当簡単に影響が出るにもかかわらずだ。
「ゆき」という歌は、そんな心情をうまく表現しているように思う。「犬は喜び庭かけまわり、ねこはこたつで丸くなる」という歌詞には正月の風物が凝縮されている。暖かな部屋から庭に降る雪を見るぜいたくというのが、非常に的確に表現されている。
アダモの歌に「雪が降る」というのがあるが、あれはあれで、灰色の空から降る雪のもの悲しさみたいなものがうまく表現されている。
たかが空から降ってくる氷の粒だが、なかなか人間の心や生活に与える影響が大きな粒だ。