早川書房から刊行されている宇宙英雄ローダンシリーズが、ついに月2冊の刊行になった!
今後もそうであることを望むのだが、今月2008年9月は、5日、25日の発売だ。
月2冊の発売ということになれば、年間で24冊、48話が読めることになる。ほぼ1サイクルを、年間で読み通すことが可能なわけだ。
原作は週間ペースだから、365÷7で52冊が出るわけで、まだ原作の方が速いので、その差が縮まることはないわけだが、もはや光子ロケットをなんとかで追っかけてるのではなく、明らかに相対性理論の影響が色濃く出るほどの速度で飛ぶことになるのだ。
ぼくには、時折ローダン症候群じゃないが、無性にローダンに興味がわくときがあって、逆に、興味を失っている期間も長い。一つには、死ぬまでに読み終えることが絶対にできそうもないシリーズという、ほぼ確定的な消化不良に対する諦念みたいなものが、何よりも前面に出ている時期、そして、かつて1冊読み終えてから1か月以上しないと次が読めなかった頃、何冊も貯めおいて一気に読むことで、楽しんでいた。つまりはその貯めている期間というのは停滞期だったわけだ。
前にも書いたが、複数作家によるリレー形式なので、翻訳の質よりも、原作の質が、面白さに大きく影響したりする。そのため、時折作品のできというか好みで、ぱたっと止まることもある。
さて、月2冊刊行ペースというのは、読み終えてから次が出るまでに、あまり待たないですむということだ。作品の内容以外で、停滞することはなくなるはずで、とても好ましい。
ぼくはローダン・シリーズに関して、あまり批判めいた話を聞かない。日本版で350、原作で2300を越えているシリーズだから、そんな巨大な風車に挑むドン・キホーテになる人がいないのか、批判するほどの内容がないと思っているかのどちらかだと思うのだが、たぶん後者だ。
あまりに多くが詰め込まれているし、文学的な香りなどはもとよりないし、読者もそんな無用の長物をこのシリーズに望んではいない。とはいえ、第三勢力が地球を統一する行などは、実は現状の世界を俯瞰すると、こういう形の世界平和が訪れれば、なんぼいいかと思う。
このローダン的世界平和の実現というのは、多くの世界政府実現のビジョンの中では、最も望ましいと思うからだ。ただ、現実にはローダンという人知を超越したような人物はいないし、アルコンの超兵器も実在しないから無理な話だが。
さて、このシリーズの月2冊刊行が今月だけの椿事なのか、今後も続くのか、まずは見守りたいが、何はともあれ、喜ばしい限りだ。