由比敬介のブログ
時をかける少女
時をかける少女

時をかける少女

仲里依紗主演による映画「時をかける少女」を観た。もちろんDVDだが。
「時をかける少女」に関しては、最初の出会いはNHKの少年ドラマシリーズ、島田淳子主演の作品だった。熱中して観た。私自身は当時、中学1年だった。筒井康隆による原作、「時をかける少女」も購入して読んだ。今でも持っているが少年少女向けの、新書よりちょっと大判で出ていたSFシリーズの1冊だった。
原作とドラマは少し違っていたが、こちらも楽しく読んだ。
半年後には続編も放送され、こちらもとても面白かった記憶がある。尤も、内容は全く覚えていない。
ウィキペディアを見るとこの作品、実にたくさん映像化されている。
時系列でいえば、上記の72年のNHKドラマのあと
1983年 原田知世主演 映画
1985年 南野陽子主演 TVドラマ
1994年 内田有紀主演 TVドラマ
1997年 中本奈奈主演 映画
2006年 仲里依紗(声)主演 アニメ映画
そして2010年 仲里依紗主演 映画
と、NHKを2本と数えれば、なんと8回だ。面白いのは、このうちの3回は原作の世界の続編的位置づけであるということだ。NHKは当に「続・タイムトラベラー」というタイトルだったし、アニメ作品はかつての主人公芳山和子の姪という設定らしい。
そして今回の仲里依紗は芳山和子の娘だった。
実際のところ、最初の2作品は、細かい部分に関して記憶も曖昧だ。一時期Youtubeに上がっていた最終話を見ると、こんな最終回だったかなと思えるくらい、記憶にない。現在はYoutubeで見ることができないが、どういう理由で削除されたのか、こういう映像こそ、Youtubeで公開すればいいので、NHKの著作権を理由に削除されたなどという理由だとしたら、受信料を払いたくなくなる。理由を知らないので、あくまで憶測だが。
さて、残りの作品の中で見たことがあるのは、角川映画の原田知世版だけだ。何でも自分のノスタルジーと同化させてしまう、当時の大林宣彦によって作られた、全く緊張感のない映画は、まだタイムトラベラーの記憶が鮮明だったであろう当時の私にとっては、駄作以外の何物でもなかった。
原田知世は嫌いじゃないが、作品としては泣けてきた。「転校生」「さびしんぼう」と併せて尾道三部作といわれているようだが、「転校生」は悪くない。
残りの2本のドラマは観ていないか、観たかもしれないが忘れてしまった。97年の映画に至っては、全く存在を知らなかった。その後の2作に関しては脚本がオリジナルなので、過去の作品と同列に扱うことはできないが、2006年のはアニメであるという理由で観ていないが、今度レンタルしてみようと思う。
なぜかといえば、今回の仲里依紗の演技が非常に良かったからだ。
今回の「時をかける少女」は、医学部に進んだかつての主人公芳山和子が、自らの手でタイムトラベルの薬を開発し、かつての深町一夫(ケン・ソゴル)に逢いに行こうとしたのだが、事故に遭い、代わりに娘のあいかがその役割を果たすために70年代にタイムトラベルするという話だ。
そもそも芳山和子にいつ記憶が戻り、どれほど重要なことを伝えに行くはずだったのかとか、元々それほどしっかり描かれているわけでもないタイムパラドックスや、都合が悪い部分はさっさと記憶を消してはいさよならという設定の部分は、原作ですらきちんとしているわけでもなく、そこを描くのが主眼でもないはずなので、敢えて問わない。
だがそれを越えて、今回の作品はドラマとしてよくできていて、みて良かったと感じさせてくれた。主役の二人、仲里依紗と中尾明慶の演技が良かったこともあるが、脚本も構成も良かった。
最後をどう見せるかは、こういう作品では非常に難しいし、今回も必ずしも成功しているとは言い難いが、ではどういうラストならいいのかということになると、これは非常に難しく、どういうラストにしても不満が残るに違いないと思う。だが作品の性質上やむを得ないと思う。
かつてこういう恋愛タイムトラベルものの中では、「ぼくの彼女はサイボーグ」はよくできたラストだった。
昔の「時をかける少女」を知っていた方がより楽しめるし、そのためには原田知世の作品を観ておいた方がいいのだが(もちろんこの映画の続編というわけでは全くないが)、単体でも楽しめると思う。
仲里依紗という名前は、なんと読むのかなと思っていたが、「なか りいさ」と読むらしい。「マイボスマイヒーロー」にも出ていたのか!知らなかった。





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